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【2024年12月8日新入荷・12月18日再入荷】十七時退勤社 橋本亮二『かけないひび』
出版社の営業として活躍する橋本亮二さんが製本者・笠井瑠美子さんと立ち上げた出版レーベル・十七時退勤社より2024年秋刊行。『うもれる日々』『本を抱えて会いにいく』『たどり着いた夏』『音と言葉の日々』に続く、1年ぶり第5作目のエッセイ。
橋本亮二『かけないひび』(十七時退勤社)
二〇二四年、四十二歳から四十三歳への日々の小さな記録。
本を巡る六月の岩手ツアー。盛岡に降り立ち、紫波の町を歩き、たくさんの人と会った。旅をしていても、日常は頭によぎり、呼吸が浅くなる瞬間はあった。隣にいてくれる人、通り過ぎたり向き合ってくれる人がいて、それは抑えられた。温かい記憶、そのなかにも鋭利な衝動や漠とした虚しさ、足元が揺らぐ感覚はあった。それでも、あの日を思うとやわらかい光に包まれる。
常な日なんてないけれど、日常は存在する。心身の変化を強く感じる。年齢や環境のせいではなく、仕事とも人との関係性においても、核となるところで向き合えてこなかった積年が突きつけられている。言葉を綴ることも、えいやと走り出すことも叶わない日が続く。一日いちにち、欠けることがないようにとだけ思い、繰り返している。
すっかり読めなくなったけれど、気持ちも考え方も啓いてくれるのはやはり本だった。一人の人間の機微、捉え難い関係性や社会のあり方を掬い取り作品として昇華する作家の力。長い物語の全体がすこしずつ心にしみ渡ることも、たった一文に奥深く横になっていた思いが呼び覚まされることもあった。こんな文章を書きたい、その気持ちは変わらずある。そう思わせてくれる本は過去に数知れずあるし、これからも生まれてくる。
あの日のこと覚えてる?
いつか、自分にも、横にいる人にも、遠くにいる誰かにも声を掛けたい。 (まえがきより)
橋本亮二
1981年、愛知県生まれ、出版社で営業職。
共著『本を贈る』(三輪舎)
サイズ:A6判 文庫サイズ ソフトカバー
定価:1000円(税別)
ページ:90P
装丁・関口竜平
編集・関口竜平
2024年12月1日 第1刷発行
発行者 橋本亮二 笠井瑠美子
発行所 十七時退勤社
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